あ行

愛用者の感想(Users’ Review)

 サプリメントなどを含むいわゆる健康食品の広告で、いつものようにこの表現を見ることができます。心理学的視点からは、自分と似たような境遇の人のこうした感想を読むことで共感を覚えさせやすいという利点があります。また、芸能人など影響力の大きい人の意見を掲載することで、彼らのファンにメッセージを送ることもできます。
 近頃では「愛用者の満足度ナンバーワン!」といったコピーも目立つようになってきました。そもそも“愛用者”はその商品に“満足”するのが当たり前なので、それをわざわざ宣伝する意味はないはずですが、前述のような共感行動を引き起こすテクニックとして“よく使える”ようです。
 たとえその商品に不満や不備、欠陥があったとしても、「愛用者の感想」からは何も浮かび上がってきません。愛用者が愛用品を悪く言うことはほとんどないからです。もしも、「愛用者の感想」の隣に「嫌悪者の感想」が書かれた商品広告があったとしたら、誠実な広告なのかもしれません。

悪徳商法(Crooked Business)

 非道徳的な手法を用いて、料金に見合う価値がない商品を買わせる商売。ネズミ講のようにそれ自体違法と定めた法律や、消費者を軟禁するなどの心理的な圧力をかけて買わせた場合などに対する消費者保護の法律は整備されています。購入した後すぐに、その商品に見合った価値がないと判断できる場合は保護が進んでいますが、多くは法律が及ばないグレーなところで悪徳な商売がなされています。
 典型的な例では、サプリメント、健康グッズ、家の改修、学習教材、幼児学習など、効果がすぐにわからないものに対して、効果があると誤認させることで商売が成立します。なかには、効果がない物をそれと知らず、たんに欲しがる人がいるから売っているという、善意の業者もいます。この場合は、買う側の責任と言えるでしょう。

後づけ仮説(アドホックな仮説)(Ad hoc hypothesis)

A「血液型が何かによって君の性格がわかるよ」
B「(心理学の研究を取り出して)いや、わかってないじゃん!」
A「その研究は「性格」を表していないね。別の研究では血液型で性格がわかるとされているよ」
B「(違う研究を取り出して)この研究でも、血液型によって性格がわかるということが否定されているみたいだけど……」
A「すべてが血液型でわかるわけではなく、例外もあるんだ。たとえば、こういう調査によって血液型と性格の関係は証明されているんだよ」
B「ん?その調査では女性の性格と血液型は関係ないという結果になっているよ」
A「女性については別のこの調査でわかっているんだ!」
B「それ、最初に君が否定した研究じゃん」
A「……」

 科学的な考え方として、既存のデータを同じくらい説明する理論がいくつかあったら、より簡潔な理論の方を採用することが一般的です。というのは、上に描いた事態に陥ると、建設的な議論が形成できないからです。 上の例のような理論を「アドホックな仮説」といいます。アドホックとは「特定の目的のために」という意味であり、上の例でいうと、「血液型によって特定の人の性格がわかる」という理論を正当化する“ために”理論を構築しているのです。

医業類似行為(Quasi-Medical Practice)

 医業類似行為とは、医師資格を持つ医師以外の者が行う医療行為のことをいいます。日本では、国によって定められた資格を取得した医師以外が医療行為を行うことを基本的に認めていません。これは、多くの医療行為には身体に害を与える可能性があるためで、そのため日本国憲法における「職業選択の自由」への侵害ともなりません。
 ただし、「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」と「柔道整復師法」において定められた身分の者は、例外的に規定の医療行為を行うことができます。また、法定などで定められているもの以外、たとえば民間療法なども医業類似行為といえます。
 法に基づかない医業類似行為(無届医業類似行為)の代表的なものには、カイロプラクティック、整体、気功、温熱療法、電気治療などがあります。これらの取り扱いについては厚生労働省により通知されていますが(注1)、明示化された法律については未だありません。
 こうした治療法において、国は「何かしらの実害があらわれない限り、禁止や処罰を行わない」という方針を実質的に示しています(注2)。つまり、施術を受けた者が健康被害を訴え出ない限り、問題にはなりにくいのです。これは、いわゆるニセ医療などを蔓延させる温床ともなり得ますが、一方で、通常医療に希望を見いだせず、日々の暮らしに絶望している人たちの受け皿になるという側面もあります。

注1 医業類似行為に対する取扱いについて 平成三年六月二八日 医事第五八号 各都道府県衛生担当部(局)長あて 厚生省健康政策局医事課長通知
(http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/061115-1a.html)(参考 2016-9-3)
注2 「HS式高周波療法の施行とあん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法十二条違反罪の成否」などから

医薬品区分(Division of medical supplies)

 私たちが服用している「薬」にはさまざまな種類がありますが、大きく区分すると次のようになります。
 まず、医師の診断(処方)によって供給される医薬品を「医療用医薬品」といいます。病院へ行って処方される薬は基本的にこの区分となります。
 次に、医師による処方箋がなくても購入できる薬についてですが、これを「一般用医薬品(OTC)」といい、「第一類医薬品」、「第二類医薬品」、「第三類医薬品」に分けられます。その中で、かつて医療用医薬品だったものから一般用医薬品となった医薬品を特に「スイッチOTC医薬品」といいます。この区分は、主にヒト体内に対する「リスク」に基づいて分けられており、販売においては許認可制が採られています。
 他に、「医薬部外品」「家庭用医療機器」といった言葉もよく聞きますが、「医薬部外品」は販売の許認可が必要ない製品(区分としては医薬品と化粧品の中間)、「家庭用医療機器」は「その機能に障害があった場合、人の健康に影響を与える可能性のある機器」と定義できるでしょう。
 こうした区分において、「第一類医薬品」のほうが「第二類医薬品」よりも「よく効く」ような錯覚を覚えがちですが、これは正確ではありません。確かにこのような言い方もできるかもしれませんが、医薬品の区分は主に「リスク」に基づいて組み分けられており、一個人の疾患への有効性を担保するものではないのです(※ただし、一般にリスクが高いもののほうがより強い効果が得られうるため、そういう意味で医師による処方箋が「必要」な医療用医薬品と一般用医薬品の間には、効果の差にも大きな隔たりがあると考えられます。)。何がどのように効くのかは個人によって大きく異なるため、自分の体質に合った薬を選ぶことが大切でしょう。
  他に、疑似科学の分野では「○○(疑似科学性の疑われる製品)は医療機器として登録されているから効果がある」といった主張も見かけますが、医療機器に含まれるものは医療用CTやMRIから避妊用コンドームやマッサージ器までと幅広いため、「医療」という冠詞だけで過度な期待を抱く必要はありません。

因果関係と相関関係(Causation and Correlation)

 因果関係とは、ある原因によって他のデータに直接的に影響を及ぼすことをいい、相関関係とは、あるデータと別のデータの単に間に関連のあることをいいます。そのため、相関関係だけでは因果関係を語ることはできません。 具体例を挙げて考えてみましょう。仮に、「身長の高い人ほど国語の達成度得点が高い。身長の低い人ほど国語の得点が低い」という中学生のデータがあったとして、「身長を伸ばすために、国語の勉強をたくさんしよう」と、因果関係を主張することはできるでしょうか。
 「国語の勉強をする」ことが原因で、その結果として「国語の成績がよくなる」という詳細なステップが示されているのなら、これは因果関係であるといえます。一方、相関関係は何が原因であるかは問われず、両方のデータに関係があるかどうかだけが問題となるのです。
 そういうわけで今回の主張の場合、相関関係はありますが、直接の因果関係は表わしていない、となります。同じように、「バレーボールなどを練習して身長をのばせば国語がよくできるようになる」や「国語の勉強をすれば身長がのびる」などの主張も正当化できないのです。しかし、中学生のデータを収集すると、身長と国語の得点の間に相関関係があります。どうしてでしょうか。

運(ツキ)(Luck)

 日常生活では、よく幸運や不運があると言います。幸運のときは「ツキがある」とか、不運のときは「スランプだ」とかと言って、運の流れを意識することもあります。神社に行くと、開運のお守りなども売られています。科学的に考察すると、それらは偶然の変動を運と捉えているにすぎないことがほとんどです。偶然の変動では、規則正しく良いことと悪いことが起きるのではありません。
 不規則に、ときには良いことが多く集中したり、悪いことが多く集中したりします。悪いことが集中したすぐ後に、また悪いことが起きると「スランプだから」と判断するし、こんどは良いことが起きると「スランプを脱した」と判断します。このような後づけの説明では、何が起きても運の流れが起きていることになります。

栄養機能食品

 ビタミンやミネラルなど17種類の指定成分を含む、サプリメントなどの健康食品のことです。それらの指定成分は人体の生命維持に必要であるので、食事で十分に摂取できなかった場合の補助手段として、サプリメントで補うことが奨励されています。
 指定成分を表示したうえで、その成分の効能をパッケージや広告に表示することが認められています。保健機能食品のひとつに相当します。

根拠にもとづく医療;EBM(Evidence-Based Medicine)

 根拠にもとづく医療(evidence-based medicine; EBM)とは、現在の医療における主流の考え方であり、医師が、自身の主観や特定の権威、逸話に頼らず、最新の臨床研究を重視する態度でもって、患者とともに医療に臨むことを指します。“根拠にもとづく”とは、治療効果・副作用・予後などの医学知識を最新の臨床研究のデータから得ることを意味します。

オーラ(Aura)

 人間の身体を取り巻く光のようなものとして一部の人々に認識されるもののことをいいます。光などの電磁波を測定する機器は人間の知覚よりも高い性能を達成しているので、それらの機器でも測定されない現状からして、物理的な光ではないと判断できます。
 オーラを測定していると称する機器が一部にあるが、それらは疑似科学です。また、オーラが見えるという人の実験から、オーラを発している身体部分を隠すとオーラ全体が見えなくなる傾向、人物写真でもオーラが見える傾向が示されているので、オーラは人物の印象等から派生している心理的な現象と考えられます。

お蔵入り効果(File-Drawer Effect)

 ある仮説を支持するデータを集めようと、実験や調査を企画して実施したところ、肯定的なデータが得られなかった場合、研究者は失敗したと思い、そのデータを引き出しにしまいこんでしまう傾向があります。これを「お蔵入り効果」、あるいは英語を直訳して「引き出し効果」と呼んでいます。
 一方、肯定的なデータが得られると、研究者は成功したと思って、データを積極的に発表します。そのため、実際には偶然変動で肯定的なデータが得られたり否定的なデータが得られたりしていても、肯定的なデータのみが公になっていることから、肯定的な効果が実証されているように見えることがあります。この「肯定的なデータのみが公になっていること」を指して「出版バイアス」と呼ぶこともあります。
 多くの研究が発表されていれば、メタ分析によってお蔵入り効果の度合いを推定することもできます。そのため、多くの追試の研究がなされていることが、真の効果を知るうえで非常に大切です(再現性)

応用性(Applicability)

 科学の成果は、社会的に活用されることで、最終的な評価を得ます。本評定サイトでは、その理論が、どの程度社会に役立つかの見込み、あるいは役立ってきたかの実績で、応用性の度合いを評定しています。役に立ったと報告する人がいても、それがプラシーボ効果のような場合には、評定は低くなります。

オカルト(Occult)

 隠された原理によって起きるとされる神秘現象や超常現象のこと。人知の及ばない現象であると探究を放棄するという点で、科学とは対極の姿勢です。科学では、たとえ秘密の奥義であっても、社会的にオープンな場において皆で探究する(公共性)という精神をもってのぞみます。