は行

波動(Hadou)

 人間などの生体から発せられるエネルギーのような波とされるもののことをいいます。人間同士の相性や、他人への影響力の説明に際し、波長が合うなどの比喩とともに使われ、また、一部の物質にも波動があり、薬とそれを飲む人の相性が波動によって説明されることもあります。
 物理的な波として存在するならば検出されているはずですが、今のところそういった報告はありません。波動が測定できるとされる波動測定装置なるものが販売されていますが、実際に何を測定しているかはっきりしません。心理的な見えについても普遍性がなく、波動を感じるというのは、視線や存在感の検知(視線検知)などから生じた個人的な思い込みである可能性が高いようです。「現代物理学で『万物は波動である』と判明した」と称して波動を正当化する傾向がありますが、これは量子論の波動概念の誤用といえます。

バーナム効果(Barnum Effect)

 「誰にでも当てはまる文」(バーナム言明)を聞くと、自分の特徴や来歴が当てられたかのように思う現象のことを指し、奇術師のバーナムの言葉から命名されたもので、占いで多用されています。コールド・リーディングで、十中八九は当たることを言うテクニック全般を、広くバーナム効果と言うこともあります。

パラダイム(Paradigm)

 パラダイムとは、トーマス・クーン(科学史家)によって提起された概念で、科学の歴史を紐解く上で重要な概念の一つです。狭義の意味では、科学において、どのようなデータが正当で、どのような方法が用いられ、どのような語句が選択されるかを決定する「枠組み」のことをいいます。これは、純然無垢な事実として語られる科学理論は存在せず、どのような理論も、それが属する文脈があるということです。また、競合するパラダイム間においては合理的な比較は事実上不可能(これを「通訳不可能性」といいます)であり、科学は「革命」のように変化していくものであることをクーンは強調しました。たとえば、天動説と地動説の争いなどがいい例ですね。
 パラダイムという概念の登場は、科学史において極めて衝撃的な出来事でしたが、それゆえに多くの批判も受けました。実際、クーンが唱えたパラダイムには21もの意味が含まれていることが他の研究者らによって分析・批判されており、さらに、現在ではより多様な概念として社会に浸透しているため、科学用語としては形骸化しているといえるでしょう。

パレイドリア(Pareidolia)

 現実にはないものが見える現象で、代表的には壁のシミが人の顔に見えたり、雲が動物の形に見えたりすることをパレイドリアといい、幽霊が見える主要原因と考えられています。記憶にあった顔のパターンと、壁のシミがたまたま一致したために、思い出された顔があたかもそこにあるかのように見えたというふうに解釈できます(トップダウン認知)。いわば、想像世界の産物が存在しているかのように現実世界で知覚した錯覚といえるでしょう。

反証可能性(Falsifiability)

 反証可能性とは、ある仮説や法則について、それを実験や観察などによって「間違いである」と示すことができることをいいます。カール・ポパーによって科学哲学の分野で提起された概念で、「科学的な考え方」として代表的、規範的な要素のひとつです。
 ある仮説について、それが誤りであるという根拠を示しても、そのたびに解釈を変更すればいくらでも説明できてしまいます。たとえば、「血液型で性格がわかる」という仮説について、それと反するデータを示しても、「血液型ですべてがわかるわけではない」という「言い逃れ」をすれば、どのような反論も意味をなしません(アド・ホックな仮説)。これでは仮説が正しいかどうかを検証できず、ひいては科学と疑似科学の区別もつかなくなってしまいます。哲学者のカール・ポパーはそこに目をつけ、「反証が可能でない理論は科学的ではない」と、科学と疑似科学のあいだにある境界を明確にしようとしたのです(境界設定問題)。
 反証可能性は、現在でも科学的な理論を識別するための中核的な要素の一つですが、しかし、この考え方だけが科学において絶対的でもありません。反証可能性を重視しすぎると、人文科学や社会科学の多くはその要件を満たさないことになってしまうからです。「科学的な理論」の理想的な要素の一つとして位置付けるのがよいでしょう。

万能理論…(Universal Theory)

 万能理論とは、どのようなことに対しても説明を与えられる理論のことをいいます。一見すると素晴らしい理論のように思えますが、科学のうえではナンセンスです。
 科学的な理論は、起きそうなことを予測すると同時に、起きそうもないことをも予測しなければなりません。万能理論は、何が起こってもその理論によって起きた理由を説明できてしまうため、予測の役に立たないのです。
 具体例を挙げてみましょう。ある幽霊愛好家が「霊や魂は、物体になったりならなかったり、自らの意思で自由に変えられるのです」と言って幽霊は存在すると主張します。しかし、幽霊否定派に「幽霊は壁を通り抜けるくせに、ドアを叩いたり足音を鳴らしたりするのは矛盾している」と反論されてしまいます。本来であれば、実験などの客観的な手続きによって皆を納得させなければ「科学」とはいえないのですが、この場合、幽霊愛好家はどんなことも「幽霊の意思」で片づけることができてしまいます。つまり、実験で目撃されてもされなくても、写真に写っても写らなくても、壁を通り抜けた次の瞬間ドアを叩いたとしても、つねに幽霊が存在すると主張できてしまうのです。
 このように、将来を予測してそれが起きるか起きないかを確かめるという手段がとれなければ、審議の判別がつかず、科学的な議論も成立しなくなってしまいます。

比較対照試験(Control Test)

 ある現象をひき起こす要因を調べるために、その要因を含んだ実験と、含んでいない実験の結果を統計的に比較する試験。たとえば、薬の効果を調べるために、薬の成分を含んだ錠剤と、含んでいない錠剤の効果を比較する試験がそれに当たります。要因を含んだ一連の実験を実験群と呼び、要因を含んでいない一連の実験を対照群または統制群と呼びます。実験群と対照群では、その注目した要因以外の条件は同一にする必要があります。さらに、試験をより厳密に行うために、無作為(ランダム)化や、二重盲検を導入するのが一般的です。

引き寄せの法則(Law of Attraction)

 願ったことが実現するといった、自己啓発のスローガン。『ザ・シークレット』という本で有名になりましたが、類似の考えは古くからありました。疑似科学のうえでの問題は、この名称が、ニュートンの万有引力の法則とそっくりであることです。しかし、万有引力の法則は、あらゆる物体に対して広く(普遍性)かつ確実(再現性)に見出すことができるのに、引き寄せの法則は思い込み程度にしか確かめられていません。そのため、法則と呼ぶには値しないものです。法則と名づけることで、確実であるという印象を与え、市民を惑わす疑似科学なのです。

フードファディズム(Food Faddism)

 フードファディズム(food faddism)とは、食物や栄養が健康や病気に与える影響を過大に評価・信奉する態度のことをいいます。たとえば、「これさえ食べれば健康である」という論の多くはフードファディズムであり、近年のいわゆる健康食品ブームの背景にある思想にも、このような傾向がよく見受けられます。
 フードファディズムが問題視される一つの理由に、食品や栄養などの「広告的な意味」が誇大化していることがあげられます。主に、科学的な根拠に対する理解の薄い(あるいはあえて扇情的に報じる)マスメディアによって、本来ありもしない健康効果を消費者に信じ込ませています。これは、単なるメディアリテラシーの問題に留まらない「科学」と「社会」の問題ともいえるでしょう。

普遍性(Universality)

 広く一般に成立すること。本評定サイトでは、特殊な状況のみに、あるいは特定の人のみに適用可能な理論であったり、確率的にごくまれにしか起きない理論であったりした場合、普遍性が低いと評定しています。また、単に健康によいと言うだけで、理論に普遍性の程度が盛り込まれていない場合も、普遍性が低いと評定しています。普遍性の高い理論が、再現性の高いデータによって支持されると、予測性が高くなり、有用です(応用性)。

プラシーボ効果(Placebo Effect)

 化学的に何の薬効もない偽薬であっても、それを受け取った患者が「この薬はよく効く」と信じて飲むことによって症状が改善することがあります。これを「プラシーボ効果(あるいは偽薬効果)」といいます。
 たとえ砂糖玉であっても、それを風邪薬と思い込むことによって多くの症状は改善し得るでしょうし、また、「ニンニクを食べて元気になった」「お茶を飲んで気分が落ち着いた」などの日ごろよく聞く「慣用句」においても、プラシーボ効果である部分がかなり含まれていると推察されます。
 ある健康効果において、それが薬による「真」の効果なのか、プラシーボ効果なのかを判別することは科学研究として重要です。というのも、その識別がつかなければ、多くの医療が立ち行かなくなってしまうからです。
 疑似科学の分野では、民間医療や補完代替医療の領域と特に結びつきやすく、ニセ医学の多くもプラシーボ効果に頼っていることが指摘されています。そこで西洋医学を基にする通常医学においては、プラシーボ効果を極力排除するために二重盲検法といった研究法を編み出し、工夫を凝らしています。「その薬自体に効果がある」と主張するためには、少なくともいくつかの検証過程を経ることが必要なのです。

変性意識状態(Altered States of Consciousness)

 瞑想状態、夢見状態()、催眠状態(催眠暗示)、感覚刺激遮断状態などの、日常の意識状態とは異なるが、依然として自覚した意識が伴う状態を変性意識状態といいます。いろいろな変性意識状態がありますが、どれも意識の働きが低下して、無意識の働きがより高まった精神状態ということができ、現実と想像の区別がつきにくくなっている状態でもあります。
 雪男(イエティ)の目撃報告の原因は、雪山で遭難した登山者たちの一部が変性意識状態におちいって幻覚を見て、その報告を聞いた別の登山者たちがまた、それを目撃した記憶を作ったと説明できます(目撃証言)。多くの超常現象の体験と関連する精神状態であり、明晰夢金縛り幽体離脱臨死体験もそうした精神状態で起きると考えられます。超心理学ではESPが起きやすい精神状態ともされています。

補完代替医療(Complementary and Alternative Medicine;CAM)

 補完代替医療とは、現代の西洋医学に基づいた医学では受け入れられていない医療行為の総称です。医学部で広く教えられることのない医療、また、通常の病院で実践されていない医療行為を意味しています。米国などでは一般にcomplementary and alternative medicine(CAM)と呼ばれており、最近では、統合医療という別の言葉も使われていますが、おおむね同じ意味です。
 厳密に何が補完代替医療なのかという区分は難しいところですが、国民皆保険制度を採用している日本では、「保険適用外」の医療行為は基本的にこれに含まれると考えてよいでしょう。具体的には、中国医学(漢方の一部、指圧、鍼灸など)、アロマセラピー、磁気療法、カイロプラクティック、温泉療法、アニマルセラピー、食事療法、サプリメント、ハーブ療法などが該当します。

保健機能食品

 サプリメントなどの健康食品の広告では、医薬品に関する法律によって、効果・効能をうたうことができないとされています。しかし、食品でも保健機能食品の場合は、所定の形式で効果・効能を表記することが例外的に認められています。代表的な保健機能食品には、栄養機能食品特定保健用食品機能性表示食品があります。