た行

体系性(Systematicy)

 諸要素が相互に関連していて、全体として機能していること。本評定サイトでは、理論の説明が他の既存の理論と体系的に接続している程度を、体系性の度合いと捉えています。理論の内部が体系的かどうかという観点も重要ですが、そちらは論理性で評定しています。

対抗理論(Opposition Theory)

 対抗理論とは、既存の理論とは別の文脈から生まれた理論のことをいいます。多くの場合、対抗理論は既存の理論とデータをもとにして戦い、より魅力的な理論が正統的な理論として扱われます。
 ここでの魅力とは、理論の論理性体系性普遍性などのことです。

ダウジング(Dowsing)

 かつて水脈占いなどに実践的に使われた技法で、V字型の棒や、L字型の一対の棒をもって歩き、水の上に来ると棒が動くとされています。ただし、棒が動くことはとくだん不思議ではなく、これは、使用者が無意識に動かしているのです(観念運動と呼ばれる)。
 水脈占いの熟練者は、水があるところを地形や植生によって探知できる勘を養っており、その結果が意識を介さずに直接「棒の動き」に現れると解釈されています。その証拠に、現代科学の測定技術を使った推測を上回るダウジングの効果は得られていません。
 また、振り子を使った占いも、ダウジングの分類に入れられています。振り子が右に回転したらYESを、左に回転したらNOを表わすなどとしますが、この回転も無意識の観念運動の結果だといえるでしょう(こっくりさん)。

多重検定(Multiple Test)

 仮説検定では通常、ひとつの仮説の検定に5%の有意水準を設定します。しかし、5%というのは20分の1なので、20回の実験や調査を繰り返した場合、偶然で1回程度有意になってしまう難点があります。そのため、もし実験や調査の中に、データによってテストできる仮説が複数ある場合は、多重検定が必要です。
 たとえば、あるサプリメントが健康によいという仮説を検定するランダム化比較対照試験を行う場合、どんな観点で健康に良いのかを、20種類の異なる指標で比較したならば、そのうちのひとつは偶然に有意になってもおかしくありません。そこで、多重検定の場合は、有意水準を引き下げるなどの対処をして、偶然による疑似効果を除去します。
 ところが、悪意のある研究者や業者が、多重検定を怠って、有意になった仮説だけを発表している実態が指摘されています。こうした点からも、少数の肯定的データだけで支持されている仮説は信用に足らないと見られるのです。

妥当性(Validity)

 理論の構築やデータの収集が適切に行われていること。心理学での「妥当性」は非常に広い意味で使われていますが、本評定サイトでは、理論の説明に合致したかたちでデータ収集が行われている場合に、妥当性が高いと評定しています。さらに、他の要因の影響が排除されていればいるほど理想的です。

単純接触効果(Mere Exposure Effect)

 単純接触効果とは、はじめは全く興味のなかったことでも、繰り返し接すると好感度が高くなったり印象が強くなることをいいます。
 初めて会ったときは苦手だった人や、全く興味のなかった音楽なども、何度も接していくとそのうちに好感度が高くなっていきます。テレビCMや選挙カーの街宣などはその最たる例といえ、テクニックの一つとして広く使われています。CMでよく見る商品のほうが「良いもの」だと思って購入したくなるのも、単純接触効果によるところが大きいでしょう。
 狩猟採集時代に人類は100人くらいの小さな集団で協力して生活していたので、周囲の人を協力相手であると思う傾向や、周囲の人の行動をまねる傾向が進化しています。だから、よく見かける人を味方だとして親近感を覚えたり、周りで使っている道具を「よいもの」と感じたりするのも当然なのです。
 疑似科学の分野では、主にサプリメントなどの健康食品の広告において、この効果が上手く使われています。「良いもの」が宣伝されているのではなく、宣伝されているから「良いもの」に見えるのだということを、一度意識してみましょう。

知覚世界(Perceptional World)

 人間は世界をありのままに知覚していると思いがちですが、そうではありません。生活に必要な範囲で周囲の情報を無意識のうちに取捨選択し、一貫した独自の知覚世界を構成しているのです。そのため、奇妙な知覚の原因のほとんどは、一貫した知覚世界を構成するうえでの「副作用」や「失敗」といえるでしょう。「不思議なものが見えた」「幽霊がいた」なども、知覚の誤認識の一種であると考えられます。

チェンジ・ブラインドネス(Change Blindness)

 十数秒かけてゆっくり物体が出現・消滅したり、色が変わったりする現象を知覚することは非常に難しく、チェンジ・ブラインドネスと呼ばれます。反対に、同じ変化が1,2秒のうちに起きるとすぐにわかるので、ある意味驚くべき体験といえます(注)。
 自然界には、植物の花が開くなどのゆっくり変化する現象もありますが、人間などの動物にとって重要な情報は、襲ってくる敵などのように速く変化するものが圧倒的に多かったようです。そこで多くの動物では、早い変化の検出が効率的にできるよう、知覚機能が進化したのです。

(注) たとえば、「まなラボ」サイト(http://managa.jp/)の「脳トレゲーム:チェンジ」で体験できる。

データ(Data)

 実験や観察、調査を行った結果得られる記録。あらゆることをすべて調べることはとてもできないので、行う価値のある実験などを、選んで実施することになります。その場合、どんな実験に価値があるのかは、理論によって決まります。データの背後には理論がある(理論負荷性)と言えます。

特定保健用食品

 生産者がその機能性(効果)と安全性を示す情報を消費者庁に提出し、審査のうえ認可を受けた健康食品。短くトクホとも呼ばれています。トクホを取得した食品は、トクホマークとともに、認可を受けた機能性をパッケージや広告に表示することが認められています。保健機能食品のひとつに相当します。

トップダウン認知(Top-Down Cognition)

 たとえば視覚の認知において、外界から来る視覚情報は、明るさ、色、線の方向、奥行き、運動などの諸要素に分かれた後、それらが統合され、ボトムアップ的に高次の認識に至ります(形→物体→走る動物など)。しかし、茂みに隠れた動物を発見するには、ボトムアップだけではうまくいきません。
 というのも、その動物の情報がすべて完全に得られるわけではないからです。そのため、記憶にあるその動物の典型的な情報を部分的に照合して、トップダウンで「動物が隠れている」と判断する認知機構が働きます。また、ときにそれが、ありもしない幽霊の目撃にもつながります(パレイドリア)。

な行

二重盲検法(Double-Blind Test)

 たとえば、水道水より天然水のほうがおいしく感じるかという官能テストをする場合、「いま天然水を飲んでいる」と本人が知っていると、気のせいでおいしく感じてしまうことがあります(確証バイアス)。そこで、本人にはどちらの水を飲んでいるか、わからないようにしてテストします(一重盲検)。また、立ち会っている実験者も「あの人は、いま天然水を飲んでいる」と知ってしまうと、おいしく感じるはずだという期待が本人に伝わって、おいしく感じてしまうことが指摘されています。そこでさらに、立ち会い実験者もどちらの水か、わからないようにしてテストします(二重盲検)。こうすることで、主観性をかなり排除できます(客観性)。

認知的不協和(Cognitive Dissonance)

 社会心理学のレオン・フェスティンガーが、記憶の改ざん(目撃証言)が起きる典型的な心理状態として提唱したもので、人間の行動を説明するうえで強力な理論として高く評価されています。
 彼の実験では、面倒な仕事をさせた人にバカにしたような少額の報酬を払うと、後から仕事の印象記憶が「有益だった」などと変化している人がいることが見つかりました(相応の高い報酬を払った人は皆「面倒だった」などと妥当な報告をした)。これは、「面倒な仕事」なのに「少額の報酬」という構図が、憤りをひき起こすような認知的不協和になり、それを解消しようとする記憶の変化だと説明できます。「少額の報酬」という外的な事実は「高額の報酬」に記憶変化しにくいのですが、「面倒な仕事」という内的な印象は容易に「有益な仕事」に変化させられるのです。
 また、高額のお守りを買ったときにも認知的不協和はよく起き、それが疑似科学信奉の原因のひとつになっています。「高額のお守りを買った」のに「効き目が定かでない」というときに、認知的不協和によって「絶対効くはずだ」と、確証バイアスを起こしたり、他の人に同じお守りを薦めて、効いたという事実を集めようとしたりする傾向が、人間にはあるのです。