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念力

言説の一般的概念や通念の説明

語句説明

力とは、PK(Psychokinesis)とも呼ばれ、ESPと並んで超心理学の主要研究対象である。物体移動や金属曲げ、念写などの大きな念力現象で、確実に起きたことが1回でも明らかになれば、念力が検証されるものを「マクロPK」、ルーレットやサイコロ投げなど、多数回の試行を繰り返し、念じた目が偶然以上出ることでもって統計的に検証するものを「ミクロPK」という。両者で研究の状況が大きく異なるので、区別をしながら評定する。

目次:

1.PKは特殊な状況でしか起きない
理論の観点:論理性(低) 体系性(低) 普遍性(低)

2.ミクロPKの研究に可能性はある
データの観点:再現性(低) 客観性(中)

3.PKとESPを区別できるか?
理論とデータの観点:妥当性(低) 予測性(低)

4.枠組みは十分だが、データ不足
社会的観点:公共性(中)~(高) 歴史性(中) 応用性(低)

総評:疑似科学



理論の観点:

論理性(低)

   PKを説明する理論はまだない。ミクロPKについては、将来を無意識に予知した結果に従い、念じた目が出るように行動しているのではないかと、ESPで説明される可能性さえもある。

体系性(低)

  PK現象の定義上、これまでの伝統的な物理学では受け入れられない「心による直接的物理作用」が想定されており、現時点では物理学の諸法則に整合的でない。ただ、心と体の関係を哲学的に考えれば、私たちの意思によって自分の腕が動くこと自体が「心による直接的物理作用」とも言えるので、今後の人間にまつわる科学の発展によって、PKに相当する現象が認められる物理理論の改訂がなされる可能性も皆無ではないだろう。

普遍性(低)

  PK現象が日常的に起きていないことは確実である。だから、PKの理論は、現象が特殊な場合にのみ起きるという、きわめて普遍性の低い説明形式にならざるを得ない。そのうえ、その「起きるための条件」は、今のところ特定されてもいない。



データの観点:

再現性(低)

  超心理学者の間では、ミクロPK実験が成功しており、統計的に再現されていると言える。しかし、その効果の大きさはごく小さいうえ、懐疑論者が行う追試実験では再現に失敗する傾向もある。

  一方、マクロPKについては、実験状況で安定して成功できる被験者がなかなか得られず、実験が遅々として進んでいない。

客観性(中)

  ミクロPKについては、コイン投げに相当する動作を高速に行う物理乱数発生器を用いた実験が考案され、多くのデータが積み上げられている。なかでも世界中に設置した物理乱数発生器をネットワークでつないで常時データを集める「地球意識プロジェクト」も30年以上にわたって行われている。そのデータはインターネットを介して公開されており、誰でも分析できるようになっている。
  一方のマクロPKには、客観的データはない。



理論とデータの観点:

妥当性(低)

  ミクロPK実験のほとんどは、通常の物理的手段による作用は起きないように管理されているので、念力という理論に合致した状態でデータ収集がなされている(しかし、それについてもESPである可能性を否定しきれていない)。 一方のマクロPKでは、管理実験ができていない。

予測性(低)

  上述のように、PKが働くとする条件の特定ができておらず、理論に基づく予測がなかなか立てられない。



社会的観点:

公共性(中)~(高)

  学術論文誌『Journal of Parapsychology』、超心理学協会の国際的な年次大会を中心に、PKの研究発表の場が伝統的に整備されている。最近では科学探究学会(Society for Scientific Exploration)の年次学術大会や、その論文誌も有力な発表の場となっている。PKの科学的研究を推進する社会的仕組みは、他の科学分野と同様によく整備されていると言える。

歴史性(中)

  ミクロPKの実験結果は、上記学術論文誌や、他の関連した論文誌に科学論文として掲載され、1930年代より議論が重ねられている。しかし、ESPよりもさらに小さな効果であるので、議論は活発とは言えない状態にある。
  一方、マクロPKについては、まれに成功報告はあるものの、同様な効果を奇術のトリックでできるとも指摘されており、確実な報告とは言い難い状態である。

応用性(低)

  ミクロPKの効果は非常に小さいし、マクロPKは安定して検出できていない。ゆえに、PKが実際に使えるという見込みはない。そのため、念力があると主張している人については、疑ってかかるほうが安全な状態である。



総評:

疑似科学

PK研究は、総じて科学的なアプローチはとられている。しかし、マクロPKに関する確実なデータはあまりなく、その結果を理論構築につなげるのはきわめて難しい。ミクロPKに関するデータは若干たまっているが、一般に念力と称する現象とはかなり距離があり、ミクロPKをPK研究の代表とするのは無理がある。PK研究が将来的に科学となる可能性は否定できないが、現時点では、むやみにPKを論じるのは疑似科学信奉につながるので、慎重になるべきである。



参考文献

  • ディーン・ラディン『量子の宇宙でからみあう心たち~超能力研究最前線』徳間書店2007
  • 石川幹人『超心理学~封印された超常現象の科学』紀伊國屋書店2012

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    (最終更新日時2018年10月7日)

    投稿

    投稿&回答

    「データの客観性 (中)」パートの最初の「マクロPK」は、「ミクロPK」ではないでしょうか。

    日本が将来に渡って技術立国であり続けるためには、このサイトのような地道な施策が必要だと思います。頑張ってください。 (投稿者:iioka)

    iioka様
    ご指摘の通りタイプミスでした。
    訂正しました。
    ありがとうございます。

    テレビで放映されるスプーン曲げなどの超能力はニセモノなんですか? (投稿者:swc)

    過去の研究実績を総合すると、優秀な超能力者がテレビに出てくることはないと考えられるので、まずはニセモノだと疑ってかかる方がよいと推測できます。

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