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血液型性格診断

言説の一般的概念や通念の説明

語句説明

 血液型性格診断とは、一般的にABO式血液型として知られている分類法によって、社会生活におけるヒトの性格を特定できるといった言説である(他に「血液型性格判断」「血液型性格分類」などともされるがこれらのいずれも明確な定義が与えられてはいない)。つまり、「ABO式血液型」という要素“が”特定のヒトの「性格」に影響を与えている、としているものである。
 まず、ABO式血液型について簡単に説明する。ヒトの血液細胞の中で最も大量に存在するのは赤血球であり、この赤血球の細胞膜表面には個人がもっている遺伝子によって表現される血液型物質がある。1900年、オーストリアの研究者であるラントシュタイナー(K.Landsteiner)によってこれが研究され、彼は血液型を4種類(A型、B型、AB型、O型)に分類できることを発見した(1)(2)。
 以上が現在一般認知されているABO式血液型の基本原理である。ちなみに、A、B、Oとは遺伝子を意味しており、メンデルの遺伝法則にしたがって個人を標識する抗原である。そのため、AAまたはAOの組合せでA型に、BBまたはBOの組合せでB型に、OOの組合せでO型に、ABの組合せでAB型になる。
 血液型性格診断は、上述の血液型の4区分から特定のヒトの性格や相性を説明でき、それを日常生活においても活用できるといったものが一般的によく知られているものであり、本項目においても基本的にはそういった一般通念を踏襲したものを“評定の対象”とする(3)(4)(5)。
 加えて、本言説の議論にてしばしば見受けられるアンケート調査などの統計的調査における本言説の有効性、血液型と疾患との関連性、今後の研究可能性においても言及しながら評定を進める。
 血液型性格診断言説においては諸説入り乱れているのが実態だが、能見氏の「血液型人間学」など(3)(4)と、医学・疫学・遺伝的観点からの「血液型」と「ヒト」との成果は明確に区別しながら記述する。

効果の作用機序を説明する理論の観点

理論の論理性 (低)

 そもそも、血液型性格診断における「性格」が何を意味しているのかが不明であることが最大の問題点といえる。「性格」とされるものの定義が不明瞭であり、たとえば“誰の”“どのような状況における”“どういう対応をすることから”“こういう「性格」であると定める”という一般化はなされておらず、どうとでも上手く解釈できる曖昧なもの全般を「性格」と表している(5)。これでは理論を一般化できず、科学性の評定としては致命的である。
 また、ABO式血液型については本項冒頭にて記述したが、果たしてこの区分が如何に人間の性格として反映されているのか、という理論への疑問に対する合理的な説明は今のところないという指摘もできる。たとえば、心理学的知見からたびたび指摘されている「バーナム効果」や「自己成就」については、肯定派において十分な議論がされていない、あるいはそれらの概念の誤用による反論が見受けられ、理論面において充実した議論は行われていないことが推察できる(6)(7)(8)。
 さらに、血液型性格診断の理論においては、その内部においてすら矛盾が見られ、科学性を評価できる理論体系をなしていないことすら指摘できる。たとえば、過度な血液型性格診断信奉者においては「血液型十戒」なるものを理論的な標ぼうとしている(5)のだが、そこでは、「8. 血液型は誰もが客観的な人間理解を可能にする、科学的観察手法である。」としつつ、その2においては「2. 血液型は気質の素材。従って性格はいかようにも料理出来ることを知ろう。」や「9. 血液型は心の科学。性格や未来を占うものではないと知ろう。」などといった内部においても論理性の乏しい説明が多々見受けられる。このように、科学性とはおよそかけ離れた理論を選択していることが言説全般的に見受けられる。
 血液型と疾患や体質にまで話を広げても、今のところ論理性を高く評価できる要素はない。特定の疾患に対する罹患率の違いや耐性についての研究なども、因子の解明や理論構築まではなされていないのが実情だ(9)(10)。
 ABO式血液型で性格診断を行うということは、ヒトを4つの分類に細かく類型化する(できる)ということなのだが、それに対する合理的な説明を見出すことができないのが現状である(そういう意味では、血液型と疾患の研究においては一定の評価を下すことはできる)。

理論の体系性 (中)

 ABO式血液型が既存の学術体系から逸脱した理論であるとは断定できない。人間の体内には大量の赤血球が存在し、その赤血球それぞれにA、B、AB、Oの各型に特有の糖鎖が付いている(ここでの糖鎖とはN-アセチルガラクトサミン、d-ガラクトース、アセチルグルコサミン、フコースによる分子構造を表す)。この点に関するかぎり、生化学的には血液型でそれぞれ全く違った機能をもつとも主張できる。
 しかし、それを正当化するのなら、血液型以外にも分類する要素は数多くありそうだ。仮に血液型のみに注目しても、Rh式やli式、MN式などの識別法もあり、げんに臓器移植などの場合にはこれら多くの要素を考慮する(11)(12)。こう考えると、ABO式のみによって性格にまで言及する理論は、他の知見との整合性が低いと思われる。
 さらに、ヒトの性格について、ABO式血液型を主軸として説明する、という理論選択に合理性を見出すことも難しい。ヒトの「性格」については今も多くの議論があり、「性格」とはどういう要素から構成されているのか、といった問いを考える場合、いわゆる複雑系であることや、進化心理学などでよく知られる「心のモジュール性」(13)(14)という概念として考える方が“ABO式血液型”を持ち出すよりも遥かに整合性が高い。 たとえ、ABO式血液型が「性格」における一要素であったとしても、わざわざ血液型性格診断を「性格」における主理論として採用する必然性はなく、このような言説に依存しなければならない積極的な理由を見出すことはできない。
 ただし、ABO式血液型と進化生物学との相関性や特定疾患への罹患率といった研究が近年報告されていることは注目すべきことだろう(9)(10)。たとえば、A型の遺伝子は免疫機能が低くなる遺伝子と共起する確率が高いので、抗原をなるべくしりぞけようと神経質な性格が共進化したという理論は、進化論、あるいは生物学などと整合的である(10)。その点を考慮したうえで体系性は中程度と評価する。

理論の普遍性 (低)

 特に能見氏を源流とする「血液型人間学(≒血液型性格診断)」においては、それが“誰にでも普遍的に適応可能だ”としているが、言説の実態がつかめない。全般として、“何となく○○型はこんな感じ”という大雑把な情報しか提供されておらず(3)(4)(5)、普遍性を推し量ることはできない。思い込みや社会通念が先行しており、理論的な実像がつかめないのである。これでは普遍性を評定する以前の問題だろう。

実証的効果を示すデータの観点

データの再現性 (低)

 能見正比古氏の著書(研究論文ではない)や「ABOの会」にて、血液型性格診断に関する肯定的な主張がこれまでに何度も発表されている。しかし、データの再現性という観点において、高評価を与えられる水準に達しているとはいえない。
 たとえば、血液型性格診断の源流の一つである能見氏は、自著へのアンケート調査(数万人規模、としているもの)にて再現性を保証できるとしているが、そもそもそのようなアンケートを“能見氏”に送る“対象”がサンプルとして偏っている(平たく言えば、能見氏の信奉者である)というバイアスを排除するような厳密性のあるものではない(3)(4)。血液型性格診断の関連団体である「ABOの会」の主張においても、一万人規模のアンケート調査で統計的有意差が出たとの報告もあるが、前述したような「バーナム効果」「予言の自己成就」「確証バイアス」「F・B・I効果(フリーサイズ・ラベリング・インプリティング効果)」といった、心理学で広く知られた効果が排除された実験デザインがとられていない。
 一方、血液型性格診断に否定的な研究データは数多く積み重ねられており(能見氏の著書においても統計的に有意な差がなかったデータもある(3))、肯定的なデータよりも信頼がおける(15)(16)(17)(18)(19)(20)。
 ただし、血液型と疾患といったことにまで言説の対象範囲を広げると、2009年にアメリカ国立がん研究所が膵臓がんの危険因子と血液型の相関性についての研究報告をしていたり(21)、2000年に科学誌「ネイチャー」にてO型と非O型の胃がんに対する見解が述べられていたり(9)と、再現性において評価できる研究も存在する。まだまだデータ不足という面もあり、一概に評価できるものではないが今後の研究可能性としては期待の持てるものだろう。
 しかし、これらの研究は能見氏等の血液型性格診断を補強するものとは言えず、医学・生理学などにおける研究成果とするのが一般的だ。
 したがって、「血液型性格診断」の再現性は低評価とするが、これは前述の「血液型」の医学的な側面のデータを否定するものではない。

データの客観性 (低)

 肯定派の提示する研究報告においては、信奉者による主観的な感想、統計調査における標本抽出の偏り、研究対象の未特定化、「自分はA型だから神経質だ」という性格の自己成就などの可能性が指摘できる(3)(4)(16)(18)(20)。したがって、血液型性格診断の中心的言説であるABO式血液型“が”「性格」やその傾向性に影響を与えている、としていてもその客観性は低い。
 また、医学・生理学的知見からも言説全体に対して同様の指摘ができる。例をあげると、近年、疫学的にピロリ菌(慢性胃炎など胃疾患の危険因子)保菌者にA型が多いことが指摘されている。血液型性格診断によるとA型の典型的な特性は「神経質」だということが主張されており、その根拠として胃痛の多さなどがデータとして挙げられている(9)(10)。しかし、血液型性格診断で言われているようにA型の人が「神経質」である“がゆえに”胃痛になりやすいのか、それともA型にはピロリ菌保菌者が多くそれによって胃痛が引き起こされるため“結果的”に「神経質」な人が多いように見えるだけなのか、といったことを客観的に区別できるような研究手法は採られていない(前者であれば「血液型性格診断」の成果といえるが、後者ならば改めて議論が必要である)。
 現在の心理学分野と、医学・生理学分野は個々に独立しており、「血液型」と「性格」を連携させた研究方法はまだ未熟ではある。ただし、今後の研究次第(たとえば遺伝学的な)では血液型とヒトの性格との関連性について客観的なデータが示される可能性もなくはないことは追記しておく。

データと理論の双方からの観点

データ収集の理論的妥当性 (低)

 血液型性格診断において、肯定的なデータが妥当に収集されているとは言えない。繰り返しになるが、心理学でよく知られている「自己成就」や「バーナム効果」などの要因を排除した形の実験デザインが採られておらず、このような指摘に対して“反論”できる体制が整っていない。

理論によるデータ予測性 (中)

 現在、能見氏を原点とする「血液型性格診断」が科学的手順を踏まえて研究されているとはいえず、予測性は低い。今一般認知されている血液型性格診断はほとんど文化として根付いてしまっており、もはや科学性を論じるに値しない言説と化している。
 一方、血液型と疾患については医学・疫学的観点から比較的研究が進められており、成果といえるものも出ている。たとえばコホート実験などの医学疫学において信頼できる研究方法から、血液型による膵臓がんリスクの違いといった発表(9)もされており、この点では予測性は高いと評価できる。さらに、進化生物学的観点から血液型とマラリアやコレラとの関連性(10)も若干ではあるが報告されている。
 予測性は中程度と評価するが、これは医学・疫学・遺伝的な成果を高く評価したためであり、このような分野の評価に重点を置いたものである。

社会的観点

社会での公共性 (低)

 日本において血液型性格診断が一般認知され始めたのは、1970年に出版された能見正比古氏による「血液型でわかる相性」からである(4)。これ以前にも1927年に「血液型と気質の研究」と題する研究論文が古川竹二氏(女子高等師範学校教授)によって発表されていたが(6)、継続的な研究が始まったのは前述の能見氏による著書が初めてであり、現在では氏が設立した「ABOの会」という団体が血液型性格診断について肯定的な主張を繰り返している(現在では「ABOセンター」が実質的にその意味を引き継いでいる(5))。
 しかし、利害関係のない公共性の高い研究においては、血液型性格診断はたびたび否定されており、肯定派において同様の水準に達している研究報告は現在のところない。したがって、社会での公共性は低評価とする。

議論の歴史性 (低)

 上述したように、現在の血液型性格診断の社会における広まりは、能見正比古氏の著書にみることができる。それを発端として1970年代から血液型性格診断の科学性の議論もさかんに行われてきた。たとえば心理学分野は血液型性格診断に強く反発しており、否定的な研究発表も多くある(「日本パーソナリティ心理学会」においてはホームページ上にて、血液型性格診断に対して懐疑的な意見文を掲載している(22))。
 一方で、血液型性格診断を積極的に肯定する立場(科学的なものだとして)の多くは能見氏の言説に依存している様子が見受けられ、また、そういった科学性を謳う言説において、“主張の責任を請け負っていない”ことが問題点として挙げられる。たとえば「A型の人は神経質だ」といった主張に対して、「A型なのに神経質でない」という事例(データ)が得られたときにも「100%正確に診断できるわけではない」や、他の全く指標の異なったデータを持ち出して「このデータを担保にできる」などである(現に、肯定派においてはこれが横行している)。このように反証データを得ても、そうしたものに対して無反省であり、科学性が議論できる構造とはいえない。
 以上より、議論の歴史性は低いと評価する。

社会への応用性 (低)

 血液型性格診断が社会において有効的に活用されているとはいえない。そもそも、血液型による性格の傾向性を重視しているのは日本人がほとんどであり、世界的にみると血液型性格診断という概念すら一般的ではない。にもかかわらず日本社会では、ブラッドタイプハラスメントといったものを始めとして人々に対する差別や偏見を助長させる要因の一つとなってしまっているのが実態である(6)(23)。
 また、血液型性格診断はヒトの性格を4種類の血液型の中から“当てる”という占いのような娯楽だと受け取ることもでき、そこに科学性を乗せてしまうと人が感じる快不快の度合いも大きくなってしまうだろう。結果として、人間関係を円滑に進めるうえでの弊害ともなりかねない。
 ただし、これは一概に血液型性格診断のみの功罪とはいえない。たとえば、仏滅に結婚式を挙げる人はまずおらず、一般的に友引に葬式は行わない。このように大衆心理は科学とは無縁に働いており、血液型性格診断が控えめな誤信として機能している分には、科学がそれを排斥する必要まではないだろう。
 しかし、血液型性格診断においては企業の採用といった、人生の大きな岐路でも使用されており、とても控えめという表現で収まっているものではない。このような実情を考慮すると、あえて社会への応用性は低いと評価すべきだろう。

総評

疑似科学

 現在一般認知されている「血液型性格診断」は疑似科学だと位置づけられ、そこで語られているものに科学的根拠は全くないといってよい。たびたび指摘したが、血液型性格診断の最大の問題点は、能見正比古氏の著書「血液型でわかる相性」「血液型人間学」などが流行りすぎてしまったことだろう。能見氏の言説の流行が多くの過激な信奉者を生みだしてしまい、それに対抗する形で主に心理学界からの強い反発が繰り返し行われてきた。このような構図から、心理学界の過剰ともいえる「血液型」嫌いという問題も発生してしまい、健全な議論ができる土壌がない、あるいは良心的な研究者の芽をも摘んでしまっているということは考慮に値する(24)。
 そうした中で、医学・疫学・遺伝的観点や進化生物学的視点からは角度の異なる考察をすることもできる。
 医学領域としての血液型とヒトの研究は1950年代~1970年代初頭までは比較的行われており、多くの疾患と血液型との関連性について様々な議論が繰り返されてきた。そんな折、先の能見氏による著書が爆発的にヒットし、しかもそれを科学だとして主張し一般大衆の誤解を招いた。このような経緯は前述の通りであり、それが多くの研究者を血液型の研究から離れさせてしまい、血液型性格診断を疑似科学の象徴として扱う風潮に、医学界においても繋がった。現在では、血液型について言及できるのは輸血と臓器移植の際のみであり、血液型の話題さえ嫌う医師もいるという状況でさえある(10)。
 しかし、「血液型」と「疾患」、「血液型」と「進化」、「血液型」と「遺伝」といったことについて研究されたものの中には信頼のおけるものも多くあり、今後の研究可能性が幅広いことは肯定材料だろう。さらに、特定疾患へのリスクの違いや、免疫機構の違いなど、遺伝的な説明によって応用性の高いものにもなりうる。
 ヒトの「性格」という言説における明らかな論理的飛躍には注意する必要があるが、少なくとも血液型と人間機能の関連を研究する価値や意味は、心理学から指摘されているほど順位の低いものではないだろう。今後の研究次第では、たとえば血液型と疾患といったアプローチからヒトの気質にまで科学的合理性を保った言及がなされたとしても、それほど不自然ではないだろう。
 ただし、繰り返しになるが、現在広く一般認知されている「血液型性格診断」における科学的根拠は乏しく、疑似科学であると評価する。

参考文献:

(1)『よくわかる 最新血液型の基本としくみ』 松尾友香
(2)『絵でわかる血液のはたらき』 八幡義人
(3)『血液型人間学』 能見正比古
(4)『血液型でわかる相性』 能見正比古
(5)http://www.human-abo.org/#!aboutus/cktc 一般社団法人 ヒューマンサイエンスABOセンター
(6)『なぜ疑似科学を信じるのか』 菊池聡 化学同人
(7)季刊『理科の探求』左巻健男 2015春号 特集 ニセ科学を斬る!リターンズ p50-109(p56-61)
(8)『心理テストはウソでした』 村上宣寛
(9)『血液型で分かる なりやすい病気なりにくい病気』 永田宏
(10)『血液型の科学』 藤田鉱一郎
(11)http://www.jrc.or.jp/donation/first/knowledge/ 日本赤十字社 血液の基礎知識
(12)https://hospital.city.sendai.jp/department/mame05.html 仙台市立病院 診療科のご案内 「第5回 血液型のはなし-ABO式血液型-」
(13)http://plato.stanford.edu/entries/modularity-mind/ Stanford Encyclopedia of Philosophy 「Modularity of Mind」
(14)『だまされ上手が生き残る 入門!進化心理学』 石川幹人  光文社
(15)「血液型と性格の無関連性」縄田健悟(2014)
(16)「血液型性格判断はなぜすたれないのか」 山下玲子 武蔵大学 社会学部
(17)血液型性格判断の差別性と虚妄性(自主企画(2)) 山岡重行 大村政男 浮谷秀一
(18)「Blood-typical personality stereotypes and self-fulfilling prophecy」Sakamoto, A., Yamazaki, K.(2004)
(19)「血液型による性格の相違に関する統計的検討」松井 豊(1991)
(20)Blood-typical Personality Stereotypes and Self-fulfilling ProphecyAkira SAKAMOTO Kenji YAMAZAKI 2002
(21)http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19648918 Genome-wide association study identifies variants in the ABO locus associated with susceptibility to pancreatic cancer.
(22)日本パーソナリティ心理学会血液型性格診断に関する意見文 公益社団法人 日本心理学会
(23)テレビ番組が増幅させる血液型差別 山岡重行
(24)『よい教育とは何か』 西条剛央 京極真 池田清彦

・(ダメな大人にならないための心理学 山岡重行)『書評』野崎瑞樹
・『機関誌「心理学ワールド」52号 2011年1月号 特集/偏見とステレオタイプの心理学』
・『血液型の迷路』 大西赤人
・『性格を科学する心理学のはなし』 小塩真司
・「血液型性格判断の妥当性の検討(2)」 白佐俊憲
・『科学技術をよく考える -クリティカルシンキング練習帳』 伊勢田哲治 戸田山和久  調麻佐志  村上祐子 名古屋大学出版会
・『新編 血液型と性格』 大村政男 福村出版

情報提供、コメント、質問を歓迎します。

(最終更新日時2015年8月17日)

投稿

投稿&回答

 1月のサイエンスカフェではお世話になりました。
 あの時発表したデータに、未入力だったデータを加えて再分析した結果を今年の社会心理学会で発表する予定です。タイトルは「血液型差別に及ぼす放送倫理・番組向上機構(BPO)勧告の効果」です。

 さて、こちらの投稿でもABO FANが私の研究を否定し、自己成就予言が起こっていないこと、思い込みにより有意な主効果が出たのではないことの根拠としている金澤正由樹著「統計でわかる血液型人間学入門」に関して、皆様のご意見をお聞かせいただきたいと思い投稿しました。金澤氏がどんな「統計」を使用してどのような主張をしているのか、著書に明記されていないので非常にわかりづらいです。長くなりますが、金澤氏の「統計」の説明から始めます。

 金澤氏は、山岡(1999)の調査結果で、血液型性格の知識がかなりあり血液型性格の妥当性をかなり信じている血液型ステレオタイプ高受容群(n=649)において、血液型性格項目の自己評定値に血液型による主効果が見られた15項目に注目しました。例えば高受容群では、AB型の特徴とされる「二重人格」で実際にAB型の平均値が一番高いことを示す主効果が認められています。このように通説通りの結果が出た項目では、次のようになると金澤氏は主張しています。
 「思い込みが存在するなら、その血液型の性格特性を知っていればいるほど自分に当てはまっていると回答するので、他の血液型との差が大きくなるはずである。このため、『その血液型の性格特性を知っている割合』をX軸、『他の血液型との差』をY軸としてグラフを描くと、グラフは単純な右上がりの直線とならないとおかしい。」(統計でわかる血液型人間学入門31ページより引用。)
 金澤氏は同書34ページにそのグラフを掲載しています。これはこのサイトの投稿36ページをはじめ複数の投稿でABO FANが紹介しているように、そのまま彼のサイトにも掲載されています。
 この文章を読んだとき、金澤氏が私のデータをどのように使ってグラフを作成したのか全くわかりませんでした。X軸の『その血液型の性格特性を知っている割合』のデータは私の調査では取っていないからです。Y軸に関しても「他の血液型」とはどれを指すのか、不明確です。出版社を介して金澤氏に教えてもらおうとコンタクトを取りました。しかし金澤氏の中では、私があるTV番組で「この1999年の私の研究を自分で否定した」ことになっていて(私には身に覚えのないことであり彼の説明も理解不能なのですが)、直接教えてもらうことはできませんでした。
 そこで何とか考えてみました。Y軸の評定平均の差は、例えば「二重人格」だったら最大の評定値であるAB型の評定平均値と他の3つの血液型の評定平均値の平均の差を取ったもののようです。血液型によって人数に偏りがあるのでその他の血液型の単純平均を使用してよいのかと疑問もあるのですが、とりあえず数値の出所はわかりました。ちなみに金澤氏の著書の199ページには高受容群で有意な主効果が認められた15項目のうち通説とは異なる血液型が最大値になった7項目のグラフを掲載しています。このY軸の数値も、最大の評定平均値と他の3つの血液型の評定平均値の平均の差を取ったもののようです。
 問題はX軸です。金澤氏の著書31ページ、先に引用した箇所の前に次のような記述があります。
 「実は、この質問項目は、彼の論文のベースとなった渡辺席子氏の論文『血液型ステレオタイプ形成におけるプロトタイプとイグゼンプラの役割』(社会心理学研究 1994年)をそのまま使用したものだ。なお、これらの質問項目は、6冊の血液型性格診断の本のうち3冊以上に共通して表れたものを採用したとのことである。そして、この元論文には、合計28の質問項目ごとに、これらがどの程度知られているかのデータが掲載されている。」
 渡辺(1994)の論文では、その調査項目が、「一般に何型の血液型の人にこの性格の持ち主が多いと言われているか」を判断させています。渡辺は各項目それぞれの全調査対象者(有効回答数102名)の平均正答率と、各血液型の調査対象者の自分の血液型の特徴とされる質問項目での平均正答率を記載しています。金澤氏は、この正答率をX軸としているようです。102名の各項目の平均正答率をX軸、最大評定平均値と他の3つの血液型の平均値の平均との差をY軸として散布図を作成し相関係数を算出したところ、金澤氏の2つのグラフと相関係数を再現することができませんでした。そこで各血液型の調査対象者の平均正答率をX軸とし、散布図を作成し相関係数を算出したところ金澤氏のグラフと相関係数を再現できました。
 金澤氏とABO FANが山岡(1999)の研究を否定する最大の根拠は、その血液型の性格特性を知っている割合が高いほど、他の血液型との差が大きくなるはずだが、山岡(1999)の評定値間の差(Y軸)と、渡辺(1994)の「本人の血液型での正答率」(Y軸) は正の相関関係を示さないから、高受容群の「思い込み」は存在しない、ということになります。「その血液型の性格特性を知っている割合が高いほど、他の血液型との差が大きくなるはず」という前提にも疑問がありますが、ここでは渡辺(1994)の「本人の血液型での正答率」を「その血液型の性格特性を知っている割合」の指標として一般化してよいのかという問題を考えたいと思います。
 渡辺(1994)の「本人の血液型での正答率」は1992年に実施した、北海道大学文学部と教養部の学生112名を対象とした調査で回答に不備がなかった102名のデータが元になっています。Y軸の数値の元になった各血液型別調査対象者の人数は、A型38名、B型25名、O型27名、AB型12名です。各血液型40名にも満たない調査対象者の平均正答率を、「その血液型の性格特性を知っている割合」の指標として一般化できるのか管理人様をはじめ、このサイトをご覧の皆様のご意見を伺いたいと思います。
 皆様のご意見をお聞かせください。
 よろしくお願いします。



(投稿者:山岡重行,投稿日時:2016/05/28 16:34:46)

お世話になっております。
ご投稿ありがとうございます。いろいろ、ヒモが解けた思いです笑。

個人的には、一般化するにはかなり幼いデータと思います。
ABOFANさんいわく、「血液型性格診断愛好者」は約7割だそうなので(母集団が何だったかは忘れましたが)、これでも十分ということになるのでしょうか。
また、かねてから私が一番疑問に思っているのは、血液型によって「何らかの差が出た場合」はサンプルがごく少数でも効果を主張し、「何も見いだせなかった場合」はサンプル不足を訴える、ということですかね。それほどバラツキが激しいと、性格判断として「使える」とはとても思えないのですが……苦笑

※閲覧者の皆様のご意見お待ちしています。本サイトにおけるコメント欄を、特定の返答を求めるものだけでなく、掲示板としてもご活用ください。 (回答日時:2016/05/28 22:58:27)

概出かもしれませんが、こんな文献ありました。

ABO Blood Type and Personality Traits in Healthy Japanese Subjects.


Tsuchimine S, Saruwatari J, Kaneda A, Yasui-Furukori N.

PLoS One. 2015 May 15;10(5):e0126983. doi: 10.1371/journal.pone.0126983. eCollection 2015. (投稿者:Dr.Hanachin,投稿日時:2016/05/26 17:28:41)

ご投稿ありがとうございます。
参考にさせていただきます。 (回答日時:2016/05/27 12:22:48)

ABO FANさんのコメントを追いかけようとしましたが断念しました。



一言、読みづらい!

結局、日本の首相とO型が、統計的に相関関係がある、ということでいいのですか?それを前提に、首相をされた方々も「性格」は様々ですが、首相とO型の相関関係が、血液型と性格の相関関係に一般化できるロジックは何なのでしょうか?

できたら管理人さんに簡潔にお教えいただきたいです。
(投稿者:けん,投稿日時:2016/05/16 19:53:01)

ご投稿ありがとうございます。

読みにくい、ですよね苦笑。どこかにまとめられたら、と思っているのですが、なかなか実行できていません。

ご質問の件に関してざっくりと……、
ABOFANさんは、日本の首相とO型(と性格)について相関関係がみられるため、血液型と性格についてはすでに実証済みである。という立場です(だと思います)。
そのロジックは何なのか、は、すみません私にはわかりません。
私は、首相とO型の間に相関関係が「出てしまう」という事象から、統計的検定で物事を論じるには限界があり、それは同時に、(実証主義における)心理学の限界でもあるのではないか、という立場です(pdfの論旨もだいたいこんな感じだったように思います)。 (回答日時:2016/05/20 10:57:59)

Hello Emil,
> If your behavior towards people with different blood group is determined by the antigens in secretions?
I don't agree with you. Please refer to the following papers.
Donna K. Hobgood (2011), Personality traits of aggression-submissiveness and perfectionism associate with ABO blood groups through catecholamine activities, Medical hypothesis 77(2), 294-300.
-- http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0306987711002106
Shoko Tsuchimine et al. (2015), ABO Blood Type and Personality Traits in Healthy Japanese Subjects, PLOS ONE
-- http://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0126983
> It has a tremendous impact on every ill.
I agree with you on this point. Blood groups affect resistance to diseases more or less. (投稿者:ABO FAN,投稿日時:2016/02/11 22:36:50)

(回答日時:2016/02/12 16:53:22)

Hello.
Have you heard anything about the antigens in saliva, sweat, sperm?
Have you heard the term "invisible transfusion"?
Well do you know your family, and her blood group?
If your behavior towards people with different blood group is determined by the antigens in secretions?
Blood does not affect it the way you are. It has a tremendous impact on every ill. (投稿者:Emil,投稿日時:2016/02/08 00:57:07)

(回答日時:2016/02/09 15:42:50)

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38

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