近年、よく耳にするコラーゲンとは、一体なんなのか。
コラーゲンとは、皮膚や腱・軟骨などを構成する繊維状のたんぱく質のことを指します。
組織や細胞を繋ぎ合わせる接着剤のような役割があり、体の形成や機能の正常化に不可欠な成分です。
この様な機能は知らなくとも、皆さま一度は聞いたことのあるワードではないのでしょうか?
コラーゲンは科学的根拠も様々な論文より証明されている、とても優れた、今注目すべき存在です。
他にはどんな効果があるのか。また、経口摂取でも補えるものなのか。確認していきましょう。
(参考サイト:https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-011.html、https://brand.taisho.co.jp/contents/beauty/detail_431.html)
コラーゲンにはどんな効果があると言われている?

コラーゲンは女性からの信頼度が高いものです。その要因として、皮膚に関与することが挙げられます。
肌は、表皮と真皮という層で構成されています。表皮は、水分の保持や体温の維持など、外側から体を守る役割があり、真皮は、表皮の内側で肌のハリや弾力を保ち、維持する役割があります。
この真皮の約70%を構成している成分がコラーゲンです。
そんな重要な存在ですが、コラーゲンはなんと、加齢とともに減少していく傾向があります。減少することによって、美容の観点ではシワやたるみ、健康の観点では関節炎・骨粗しょう症・動脈硬化・眼精疲労や老眼の可能性が挙げられます。
(参考:https://brand.taisho.co.jp/contents/beauty/detail_431.html)
肌に潤いを与え、弾力のある肌にする
まず、皮膚とは、「表皮・真皮・皮下組織」の三層で構成されています。
皆様が化粧水などでお手入れをする時に一番に触れる場所は表皮です。けれど、根本的なところからのケアを考えた場合、表皮の下の「真皮」のお手入れが良いとされています。
その理由は真皮層の70%を占めているものがコラーゲンだからです。
つまり、健康的で美しく、潤いや弾力のある肌を目指す為に、コラーゲンは必要不可欠ということになります。逆に不足してしまうと、お肌は乾燥の方向に進んでいってしまいます。
(参考:https://www.duo.jp/skincare/kanso-hositu/1985/)
骨を丈夫にする

減少による骨粗しょう症のリスクを挙げましたが、というのも、骨とは「カルシウム、ハイドロキシアパタイト」と「コラーゲン」が半分ずつの割合でできいるからです。
近年の研究で、関連性があることが証明されています。予防する為によくカルシウムの摂取を耳にしますが、意外と気付かれていないコラーゲンにも着目することで、骨質が良くなると言われています。
(参考:https://www.takeda.co.jp/patients/osteoporosis/about/cause.html)
関節の動きを滑らかにする

例えば指先、手首、肘、股関節、膝関節など、その間にクッションのようにあるものが軟骨で、これにも多くのコラーゲンが含まれています。
人が動くために必要な部分のため(日常生活での曲げ伸ばしをする動作)、摩耗していく箇所です。
減少していくことで関節の滑らかな動きを失い、結果、関節の可動域が狭まってしまったりして転倒リスクの向上や、少しの衝撃でも傷みやすくなったりしてしまいます。
どんどんと軟骨がすり減っていくと、炎症・関節の変形により、人によれば歩行困難から、手術にまで発展するなど、日常生活に様々な影響を及ぼしてしまいます。
そのように減少による疾患が考えられますが、コラーゲンの継続摂取により、関節の痛みが和らいだという論文も発表されています。
(参考:https://brand.taisho.co.jp/contents/beauty/detail_446.html)
筋肉や腱を丈夫にする
コラーゲンの効能は、スポーツ界でも注目されています。コラーゲンは筋肉と骨を繋ぐ「腱」の主成分かつ、筋肉の中にも多く含まれています。
激しく体を動かし続けていると、「使いすぎ症候群」と呼ばれる腱や筋肉の損傷によるスポーツ障害が生じやすくなります。投球による野球肘やランニングによる膝の痛みなどがその例です。
コラーゲンの合成は損傷した筋組織が回復していく時に活発になるため、その際にコラーゲンを補給することで新たに丈夫で壊れにくい筋組織が形成されることが期待できます。
(参考:https://brand.taisho.co.jp/contents/beauty/detail_446.html)
コラーゲンに効果がないと言われている理由は?
コラーゲンを摂取した人を対象にしたある研究で、皮膚の弾力の改善や、膝の可動域の改善は認められたものの、皮膚の水分量やシミ、シワ、膝などの痛みや違和感への効果は認められていませんでした。その理由として、まだ臨床実験数が少ないこと、特定の箇所のみの効果の立証しかできてないことから、人によれば「コラーゲンは意味がない」という風に感じるのでしょう。また、コラーゲンを摂取する人自体の体の具合や、そもそもの体質、普段の食生活など、個人差があるため、「効果がある!」と、一概には言い切れないのではないかと考えています。
(参考:https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail2204.html)
経口摂取すると効果なし
一般的には経口摂取しても効果がないと言われています。その理由はコラーゲンの分子量が大きく関与しています。中にはコラーゲンより分子量が更に小さい「コラーゲンペプチド」というものがあります。コラーゲンペプチドは、加熱したり冷却しても通常のコラーゲンと比べ変わりにくいという特性がある為、サプリメントやドリンクなどに使われるものはこちらになります。その為「コラーゲンペプチド」の場合、効能があると論文などで紹介されています。
(参考:https://www.skincare-univ.com/article/017826/)
肌に直接塗っても浸透しない
「肌に塗っても浸透しない」というお話も、前項の「コラーゲンペプチド」となると、お話が変わってきます。
ある研究で、コラーゲンペプチド又は、プラセボ薬(色、重さ、味及び匂いなど物理的特性を可能な限り被験薬に似せ、かつ薬効成分を含まない偽薬のことを指す)を4週間服薬した人たちの摂取前後の皮膚状態の変化を比較しました。
その結果、コラーゲンペプチドを摂取した人たちの、角層水分量の優位な変化が認められました。
ただし、厳密に言うと、「魚鱗コラーゲンペプチド」をこの場合は指し、「豚皮コラーゲンペプチド」では、変化は得られませんでした。
今後選択する時に是非ご活用下さい。
(参考:https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010771147.pdf)
腎臓が弱い場合むくみや頭痛が出やすくなる
腎臓病の進行を防ぐためには、慢性的な炎症の際にコラーゲン等の繊維タンパク質の蓄積によって腎組織が硬くなってしまうこと(線維化)を抑止することが重要とされています。
その為、腎臓になにか疾患を抱えていたり、不安のある方にコラーゲンはお勧めできません。
また、健康や美容に良いとされている為、つい多く摂取すればいいのかな?と思ってしまうところではありますが、過剰摂取は大変危険です。
1日あたりの摂取目安量は、5〜10gです。特に、元より腎臓が弱い人は、排尿が上手くいかなくなり、むくみや頭痛が出やすくなる為、注意が必要です。
(参考)
https://www.amed.go.jp/news/release_20170914.html
http://maedaseikei.net/publics/index/135/detail=1/b_id=159/r_id=323/
コラーゲンの効果に科学的根拠はある?
はじめに結論を申し上げますと、コラーゲンの効能に科学的根拠はあります。
けれど、コラーゲンと一括りにするのではなく、細分化していく必要があります。
コラーゲンペプチドを経口摂取した場合の臨床試験における有効性として,関節痛や骨粗諮への報告は、海外の論文でも発表されています。
また、従来少なかった皮膚角層水分量の改善効果について言及された論文が、2011年の3月に公表され、注目を集めています。
(参考:https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010771147.pdf)
血管を若返らせることができる
コラーゲンペプチドも、血管をしなやかにし、動脈硬化等の予防が期待できることが2016年の研究で明らかになりました。
内容は平均年齢72歳の男女64名を対象とし2つのグループに分け、一方はコラーゲンペプチド、もう一方はホエイプロテインを3ヶ月間摂取したところ、血管の弾力性の程度をあらわす指標の一つである「脈波伝播速度」が、コラーゲンペプチドを摂取したグループで、有意に改善したのです。
この改善度合いは、血管年齢に換算するとマイナス5歳分に相当します。コラーゲンペプチドに血管若返り効果のあることが、この研究で示されたのです。
(参考:https://www.collagen-net.com/2020/11/blog-post_2.html)
皮膚はコラーゲンを吸収することができる
あまり塗布するだけでは効果がないと思われていますが、実は、吸収することが可能です。
しかし、それにも条件があります。
ここまで何度も出てきたコラーゲンペプチドが重要な鍵です。お伝えしたようにコラーゲンでは分子量が大きく、塗布しても中へ入っていくことが難しいのです。
ただ、一番外側にある表皮へのアプローチは可能です。コラーゲンの持つ保水効果を利用して、肌表面を保湿することは期待できます。
肌の奥の真皮以下へのアプローチを試みるなら、分子の大きさに注目しなくてはいけません。
そこで登場するものが、コラーゲンペプチドです。また、アミノ酸とも相性がよく、サプリではまとまっているものも多く見かけます。
(参考:https://i-voce.jp/feed/9414/)
コラーゲンサプリとして摂取すると効果なしなの?
コラーゲン自体の効果は立証されていますが、
表題の答えとなると、「有る」とも「無い」とも断言できないことは、ここまで読んで頂いた方には伝わるのではないでしょうか?
前提として、コラーゲンは皮膚に塗布する場合、表皮だけなら分子が大きくても保湿効果がある。
しかし、真皮以降の深いところを狙うなら、コラーゲンペプチドの方が望ましい。
摂取する場合も同じです。コラーゲンでも魚鱗コラーゲンペプチドの場合、有用であるという論文を基にした根拠があります。
それらからの情報をまとめた結果、理論的には理解も可能ですし、サプリを飲む価値もあるのではないかと考えます。
用途によって、適切なコラーゲンの選定が、美容や健康に繋がっていくのではないでしょうか。
ただし、前述したとおり腎疾患のある方は特に気をつけてください。また、サプリ等も薬と同様、合う・合わないがある為、飲む場合は御自身の体と相談して服用することをお勧め致します。
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